こちらのサイトは「庵主-あんじゅ-anju -」、小さな庵。
フランス語では天使という意味です。
乳ガンの方の「天使」になりたいと願いを込めて、
「あんじゅ」と名付けました。
手術について
乳がんの手術は、大きくわけて乳房切除術と乳房温存手術があり、同時に脇の下のリンパ節を
切除するのが標準です(「郭清(かくせい)」といいます)。
しかし最近では、脇の下の代表のリンパ節を数個摘出するだけ(「センチネルリンパ節生検」といいます)で済ませたり
癌を切除せずに焼いてしまうラジオ波焼灼治療も試みられ初めています。
乳房温存手術
乳腺を部分的に切除し、乳房の形状を残す手術です。 乳がんは腫瘍(しこり)の周囲に乳管内進展病巣というのを伴っていることが多いので、癌の部分だけではなく周囲の正常部分もある程度あわせて切除します。 ・腫瘍を中心に丸く切る方法(円状部分切除、「Bp」と書きます) ・腫瘍を含んだ扇型に切る方法(扇状部分切除、「Bq」と書きます) 皮膚に近い場合は腫瘍の上の皮膚も切除します。 最近では、内視鏡を使って、できるだけ小さい傷から切除する方法も行なわれています。 切除した後の部分は、周囲の乳腺や脂肪組織などを寄せて縫うことが多いですが、そのままにすることもあります。 乳房温存手術は、温存した乳房内に腫瘍細胞が残り、再発をする危険性があります。 そこでできるだけその危険性を低くするために、手術後に温存乳房に放射線治療をするのが一般的です。 それでも数%は温存乳房での乳がん再発があることは承知しておいていただく必要があります。 しかし、手術後10年、20年経ったときに生きていられるかどうか(「生存率」といいます)は、乳房切除をした場合と同じことがわかっています。 |
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皮下乳腺全切除術
しこりが小さい場合や、非浸潤癌(癌が乳管の内側だけに広がっている癌、「DCIS」ともいいます)の場合は、乳房の皮膚をできるだけ多く残しながら、 皮下の乳腺組織をできるかぎり切除する手術が近年盛んに行なわれるようになって きました。 次のような方法がありますが、それぞれ病状にあわせて選択します。 腫瘍の上の皮膚や乳頭・乳輪を切除するSkin-sparing mastectomy 乳頭・乳輪を温存するNipple-sparing mastectomyなど、これらの手術法は、原則として切除した乳腺部分を何らかの方法で再建することを目的としています。 乳房再建の方法は後述しますが、切除に引き続いてそのまますぐに再建する方法(同時再建、一期的再建)も多く行なわれるようになっています。 |
乳房切除術
従来から行なわれている手術で、乳房皮膚・乳頭・乳輪を含めてすべて切除されます。以前のように大胸筋・小胸筋も含めて切除する機会は少なくなりました。乳房再建を前提に乳房切除時に仮のバッグを入れておき、徐々に仮のバッグを膨らませて皮膚を伸ばして、後日人工乳房に入れ替えるという方法を取ることもあります。手術後しばらくしてから再建すること(2期的再建)も可能です。 |
脇の下のリンパ節切除とセンチネルリンパ節生検
なぜリンパ節も切除するのか
乳がんは脇の下のリンパ節によく転移をします。また、リンパ節に転移があったかどうかが、将来、肺や肝臓、骨といった
遠隔臓器で再発するかどうかの指標のひとつとなり、手術後の補助療法(抗癌剤治療やホルモン治療)をどうするかの
判断材料になります。
このため、脇の下のリンパ節を脂肪組織ごと広く切除する方法が従来からおこなわれてきました。
これを腋窩リンパ郭清といいます。すなわち乳がんの手術とは、一般的に乳房腫瘍の切除と腋窩リンパ節郭清の
両方をセットでおこなうことを意味します。
センチネルリンパ節という考え方
しかし、脇の下のリンパ節を郭清すると、数~10%程度に腕のむくみ(リンパ浮腫といいます)が生じ、
中には腕が2倍くらいに腫れてしまう方もいらっしゃいます。実際に脇の下のリンパ節に癌が転移をしている確率は、
しこりの大きさが2cm程度であれば20~30%といわれており、残りの70~80%の方は
無駄な治療を受けていることになります。
しかし転移があるかどうかは切除してみなければわかりません。そこで、できるだけ不必要なリンパ節郭清を防ぐという目的で、研究されているのがセンチネルリンパ節生検です。
センチネルリンパ節(「見張りリンパ節」ともいいます)とは、癌が最初に転移するリンパ節のことです。このリンパ節をうまく見つけて調べ、そこに転移がなければ、
それ以上遠くのリンパ節には転移が無いことを意味し、すなわち広くリンパ節を切除(腋窩郭清)しなくてよいということになります。
センチネルリンパ節生検の方法
センチネルリンパ節生検の方法は、手術の前にあらかじめ微量の放射性同位元素(放射能をもつ物質)や色素を乳房に注射し、
それをたよりにリンパ節を見つけて摘出するというものです。摘出したリンパ節は病理検査によって
転移があるかどうかを調べます。センチネルリンパ節生検が本当に安全かどうかは、
現在、欧米を中心に臨床試験がまだ進んでいる段階ですが、これまでのところ、郭清した場合とほとんど治療成績は
変わらないであろうと考えられています。しかし、最終的な結論はまだ数年先になります。
わが国においても、最近では多くの施設でこのセンチネルリンパ節生検が行なわれるようになってきています。
しかしあくまでもまだ研究段階ですので、患者さんの状態や病気の状況によってはできないこともありますから、
主治医の先生によくご相談ください。
ラジオ波焼灼治療について
ラジオ波焼灼治療は、熱によってがん細胞を死滅させる治療法です。
がん細胞は70℃以上の熱を浴びると、タンパクの熱凝固によって短時間で死滅します。ラジオ波焼灼治療は、電極となるニードルからラジオ波を発生させ、90~100℃の摩擦熱(ジュール熱)を発生させることで、がん細胞を熱凝固させ死滅させる治療法です。使われるラジオ波はAMラジオと同じ周波数の電磁波です。